日本で迎える、人生の岐路 – 飯田橋校舎 齊藤 先生

2017/03/14

私の場合、大学を卒業する頃は、日本語教師になろうと全く思っていませんでした。普通に企業に就職するだろうと。ただ、長期的に海外に出られたらな、という漠然とした気持ちもあって、それで、カナダに一年間ホームステイ留学しました。そこで、現地の小学生に日本語を教えたり、日本文化を紹介したりという活動をしているうちに、「あれ? なんとなく、この仕事って楽しいぞ」と思い始め…気がついたら今に至るわけです。何のきっかけが人生の進路を決めるか分かりませんよね。


今、東京校舎で、主に留学生の皆さんに日本語を教えています。十代の終わりから二十代前半の方が多いので、彼らがアークにいる一年か二年の間に、日本語力だけではなく、外見はもちろん人間的にも大きく成長してゆく姿を間近で目のあたりにしています。日本の進んだ学問を学ぼうといった、明確な目標を留学する前から持っている方もいますし、逆に、なんとなく日本が好きだから、といった理由で留学してきている人もいます。そして、日本の大学や専門学校に進学したり、その後、日本にとどまったり、本国に帰ったりするわけです。様々な夢を追って日本にやってくる人。思ってもみなかった夢を日本で見つける人。日本語を教えるだけではなく、そんなふうにして、多感な二十歳過ぎの学生が夢を掴むのを手助けすることができるのも、この仕事の大きなやりがいになっています。


私自身がカナダ留学中に天職を見つける体験をしたことで、そういう手助けにやりがいを見いだすようになっているのかもしれません。学生達は、自分自身の手で未来の道を切り開いてゆかないといけないんです。ですから、自分の道を切り開く力を持てるようにするのが、私たちの仕事ということになります。日本語能力はその一つですし、日本という異郷の地で生活し、学ぶ過程自体が、精神的に強く鍛えられる一つのツールだと感じています。


表面的な結果として進学率100%という数字も出てきていますが、実際に学校の外の日本社会に出て困らない力を育てることも重要です。例えば、いくらペーパーテストの点が良くても、面接でコミュニケーションがとれなければ受験そのものに失敗してしまいます。アルバイトにしたって、友人作りにしたって、何より大事なのは人と人とのコミュニケーション。その本物の日本語力を鍛えるために、教科書による授業だけではなく、一般家庭訪問やプレゼンテーション訓練など、さまざまな方向から取り組んでいます。すべては、夢を掴む腕力を学生に身につけてもらうためです。


東京校舎の皆さんは、人生でとても大事な数年を日本で過ごす…まさに人生の岐路を日本で迎えるわけです。そのために「日本語教師としての私にできること」をいつも考えています。